研究者がお薬として有用となる可能性のある物質を発明・発見します。
動物を対象に新薬が安全か、また期待する効果が見込めるかどうかを確かめます。
人を対象に新しいお薬を検証します。新薬が承認されるまでに3段階のステージがあります。
HMR は第 I 相試験と早期第 II 相試験を専門に実施しています。
すべてのステージの試験結果をまとめ、イギリスの政府機関である英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)または厚生労働省のような監督省庁に提出します。承認許可が降りるとお薬は使用可能となり、市場に出ることになります。
お薬として承認された後も、その他の治療方法との比較や、安全性を確認する追加検証が実施されます。
(臨床第 IV 相試験:フェーズ4)
通常は、まず18歳から45歳までの健康な方を対象に新しいお薬を使用してもらい、安全であること、どのように身体が反応するかの確認・調査を行います。お薬が高齢患者を対象とする場合、まず60歳以上の健康な方を対象に治験を実施することもあります。健康な方を対象にした治験の結果が有望な場合、お薬の開発目的となる病気を患っている患者さんに、効果の有無を確かめるための治験を実施します。HMRは健康な方を対象とした治験を専門としています。しかし、時には新しいお薬を、喘息や偏頭痛、糖尿病などの症状のある患者さんに初めて使っていただく治験も実施しています。
HMRでは治験実施に際し、医薬品の臨床試験の実施の基準でGCP(Good Clinical Practice)と呼ばれる厳しい法律やガイドラインを遵守しています。これは人を対象に新しいお薬を使用する研究者たちに、高度な基準での治験実施を行わせるためのガイドラインです。HMRの施設やスタッフは、新しいお薬の試験を実施するにあたって、イギリスの医薬品医療製品規制庁(MHRA:新しいお薬を管理する行政機関)が定めた最高基準を満たしています。
1993年以来、HMRはその規模にかかわらず日本の製薬会社に対し、健康な白人を対象にした多くの治験を実施してきました。2002年以降は、「ブリッジング」試験と呼ばれる、白人の試験結果と比較するための日本人を対象にした治験を実施してきました。HMRでは、白人、日本人、韓国人、中国人を対象に各グループ間を比較する治験を実施したこともあります。ブリッジング試験は製薬企業が日本で新薬の市販許可を取得する際に役に立つ試験です。
HMRで調査研究するお薬は、ボランティアさんに使用する前に徹底した検査を経ています。治験はすべて、倫理的に行われ、確認されている副作用も含めボランティアさんへ情報が可能な限り十分に提供されるようにする、独立した倫理委員会により審査されます。英国政府機関も治験が可能な限り安全に行われるように検証を行います。
市販薬・治験薬にかかわらず、副作用の出る方もいます。たとえば風邪薬は眠気を誘うことがあります。そういった副作用は深刻なものではなく、悪影響を及ぼすことなく徐々に消えていきます。深刻な副作用が起こることは非常に稀です。というのも動物実験で安全性が確認された量をはるかに下回る量の治験薬を使用するからです。施設には医師が常駐しており、また、副作用に関するアドバイスをする医療スタッフもおりますのでご安心ください。
お薬の種類により体外に排泄されるスピードは異なります。ほとんどのお薬は最後にお薬を使用してから3ヶ月以内に、血液中から検出されなくなります。そのため、一度治験に参加すると、3ヶ月間空ける必要があります。